この記事を読んでいるあなたは、資産運用や投資を考えたり、既に行っているだろうか。また、NISAを活用しているだろうか。一昔前までは投資をする人は少数派だったが、新NISAの普及で投資をする人は珍しい存在ではなくなった。本来、投資で得た利益は税金が発生するが、NISAは投資で得た利益が非課税になるため、効率良く資産形成を進めることができる。
この記事ではNISAの特徴やメリット、注意点等を解説する。
NISAとは
そもそもNISAは、イギリスのISA(Individual Savings Account:個人貯蓄口座)をモデルに作られた制度で、日本(Nippon)のISAだからNISAだ。この略称からお分かりの通り、NISAは口座のこと。なので、NISAで投資を始めたいなら、まずは証券口座で口座開設が必要になる。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかるが、NISA口座内での取引で得た利益は非課税になる。NISAは2014年に始まったが、当時のNISAは、年間投資枠120万円、非課税期間5年だった。非課税の恩恵を最大限得るためには毎月10万を投資する必要があり、ないよりはマシだけど頑張って入金しないと恩恵を感じにくい制度でもあった。しかし、2018年につみたてNISAが登場したり、2024年に現行の新NISAに統合されたり、2027年からつみたて投資枠の年齢要件が撤廃されたりと、少しづつ変更を繰り返してきた。制度の中身は変わっているが、本来課税される利益が非課税になる制度の根本部分は変わっていない。
現行のNISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠がある。つみたて投資枠は長期の積立、分散投資に適した投資信託の売買をするための口座で、年間投資枠は120万円、成長投資枠と合わせて1800万円が上限となる。一方、成長投資枠はつみたて投資枠より幅広い投資商品が売買可能で、年間投資枠は240万円、成長投資枠全体で1200万円が上限となる。成長投資枠はつみたて投資枠と同じ投資商品を売買することも可能だ。
個別株の売買も可能ではあるが、成長投資枠だけではNISA全体の上限である1800万円の枠を埋めることはできない。枠をフルで活用したり、少額からスタートするためには投資信託への投資、ひいては毎月の積立設定は欠かせない要素となっている。
今後もNISAの改正により制度が変更される可能性があるので、より正確な情報は金融庁のNISA特設サイトで確認してほしい。
口座開設の際にNISA口座を合わせて開設することでNISAでの取引を開始できる。ただし、NISA口座は1人につき1つまでなので、既に別の証券口座でNISA口座を作っているのであれば、他の証券会社ではNISA口座を開設できない。NISA口座を運用する証券口座は後から変更できるものの手続きや管理に手間がかかる。NISA口座を開いた証券会社や銀行とは長い付き合いになるので、自分の生活に合ったところで口座開設をしてほしい。
これまで口座開設をしたことがない人にも勧められる証券口座のリンクをまとめたので、こちらも参考にしてほしい。
NISAのメリット
NISA口座を活用することで様々なメリットを享受できる。
口座内の取引は非課税
何度も述べているが、NISA口座内で得た利益は非課税になる。例えば、100万円で購入した投資信託が値上がりして200万円になり、売却して利益確定したとする。通常だと100万の利益に約20%の税金がかかるため、手残りは約80万円になる。しかしNISA口座での取引であれば約20%の税金はかからないため、利益の100万円がそのまま手元に残ってくれるのだ。
非課税期間が無期限で非課税枠の再利用が可能
2023年以前のNISAは非課税で運用できる期間に限度があったが、2024年以降は非課税期間が無期限になった。また、一度買った投資商品を売ってしまうと、その投資商品の非課税枠は復活しなかったが、これも2024年以降は翌年に復活するようになった。この2つが実現したことで毎月の積立額を無理のない金額に設定しやすくなった。また、非課税の運用期間に制限がなくなったため、より多く利益を残しやすくなった。
始めやすい
NISAは税制面で有利であるのは勿論だが、少額からでも始められる点も大きな長所だ。証券会社にもよるが、毎月1000円をクレジットカードから引き落として積立設定することもできるので、投資の経験がなくても小さく始められる。小さく始めて徐々に積み立てる金額を大きくしていくのがおすすめだ。
NISAの注意点
NISAには数多くのメリットがあるが、使う上で注意する点もある。
元本保証ではない
投資信託を含め、投資商品は元本保証ではない。買い付けたタイミングによっては含み損を抱える可能性は十分にある。
損益通算ができない
NISAは投資で得られた利益は非課税で受け取ることができる。しかし逆に投資で損失が発生しても損益通算することができない。損益通算は投資で損失が発生しても、確定申告で他の所得と合算することで損失分の所得を引き下げたり、来年度で利益が出れば前年度の損失と相殺することができる制度だ。金融庁としては「NISAでの利益は非課税だから損失は被れ」というスタンスなのかもしれない。
年間投資枠は持ち越せない
現行のNISAではそれぞれの投資枠に年間上限があるが、上限内で収まった場合、残った投資枠を次年度に持ち越すことはできない。枠が残った場合は翌年もそれぞれの上限の枠内で積み立てや買い付けを行う必要がある。ただ、年間投資枠に足りないからといってむやみに投資するのはよろしくない。
終え方が難しい
NISA口座での投資は少額から簡単に始められるのがメリットである一方、終わらせるのが難しい側面がある。投資信託を長期間積み立てた場合、恐らく資産はそれなりに増えているだろう。問題はその資産を取り崩して使うときだ。長期間積立をした人ならこう考えるだろう。取り崩さずこのままにした方がより増えるな、と。使うために投資した筈が減ることを恐れたり、より増える可能性がチラついて使えなくなってしまう。そして資産を使いきれず最終的に死んだ時が一番お金を持っている状態になってしまう。
積み立てた資産の取り崩しが近づいたら、少しずつ資産を取り崩して使うことにも慣れていく必要がある。
つみたて投資枠と成長投資枠では同じ投資商品に揃える
この話はNISAで積立設定をする人向けの話になる。つみたて投資枠は年間120万円なので毎月10万円投資すれば年間上限の枠ピッタリまで投資できる。ただ、高所得だったり、節約を極めたりで10万円を超えて投資に回すことができる人もいるだろう。その場合は成長投資枠でも同じ投資商品を買い付けることをオススメしたい。勿論つみたて投資枠で投資信託を積み立てているなら、成長投資枠で個別株を買ってリターン増加を狙っても良い。しかし銘柄が増えると買い付けや売却のタイミングが別々の投資商品が混在し、管理の手間が増える。なにより、つみたて投資枠で投資先を確立しているなら、成長投資枠でも同じものに投資すれば良い。つみたて投資枠と成長投資枠で買い付けるものを揃える方が楽に管理できる。
やらないと不利益になる?
NISAは国民の資産形成を助けてくれる便利な制度であることは間違いない。ただし、ここは重税国家日本。消費税や社会保険料の負担が増える日本において珍しく国民の財産が残る制度が機能しているが、その分得られない税収をどこかで穴埋め、もとい増税される可能性は高いと考えられる。2026年4月からは独身税と揶揄された子ども・子育て支援金制度が始まり、静かに、しかし確実に負担が重くなっていく。2026年10月現在、消費税の減税が議論されているが、これも期間が限られている。NISAを通して投資をする人は限られる一方で、税や社会保障の増額は日本国民に共通だ。資産形成をやる人とやらない人の格差はますます広がっていく。たとえ心の中では投資や資産形成をやりたくないと思っていても、昨今の円安やインフレで少しづつ生活は苦しくなる。今後、NISAのような税制優遇制度の利用が前提で税制が決まる可能性があり、やらないことで金銭的にどんどん苦しくなってしまうのではないかと考えてしまう。
まとめ
この記事ではNISAについて解説した。NISAは個人の資産形成を強力に後押しする良い制度であることは間違いない。しかし損益通算ができなかったり、長期投資が前提であったりと、使う上での注意点や戦略も存在する。自分のライフスタイルに合わせて無理なく活用してほしい。
この記事がNISA活用や理解に繋がれば幸いだ。
