投資を始めようとすると、多くの人が最初に候補として挙げるのがS&P500とオルカンだ。しかし、どちらも人気が高いからこそ「結局どちらを選べばいいのか分からない」と迷う人も多い。
この記事では、それぞれの特徴や違い、どんな人に向いているかを比較しながら解説する。
S&P500・オルカンとは
S&P500とは、米国を代表する約500社で構成される株価指数。米国企業の中でも時価総額の大きい企業が中心となっており、米国株式市場を代表する指数として利用されている。
詳しくはこちらの記事で解説している。
一方、オルカンとは「オール・カントリー(All Country)」の略称で、日本では「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を指して使われることが多い。先進国や新興国など、世界中の株式へ幅広く投資できることが特徴だ。
詳しくはこちらの記事で解説している。
S&P500とオルカンの違い
ここでS&P500とオルカンの違いをまとめた。比較対象は人気の投資信託である以下の2つ。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
| 項目 | S&P500 | オルカン |
| 投資対象 | 米国株 | 全世界株 |
| 対象地域 | 米国 | 先進国・新興国 |
| 米国への依存度 | 非常に高い | 高いがS&P500より低い |
| 地域分散 | △ | ◎ |
| 業種分散 | ○ | ◎ |
| 成長の取り込み方 | 米国企業の成長 | 世界経済全体の成長 |
| 向いている人 | 米国の成長を重視したい人 | 特定の国に集中したくない人 |
| 2021年~2025年の平均利回り | 25.2% | 21.6% |
S&P500とオルカンの大きな違いは、投資対象を米国に絞るか、世界全体に広げるかという点だ。S&P500は米国企業に集中して投資するため、米国経済が成長した場合にはその恩恵を受けやすい。一方、オルカンは世界中の企業へ分散投資するため、特定の国の経済状況に依存しにくい。ただし、オルカンも米国株の比率が高いため、米国の影響を大きく受ける点には注意が必要だ。
どちらに投資したらよいか
S&P500とオルカンはどちらも長期投資の対象として有力な選択肢。どちらを選ぶかは、米国への集中投資をどこまで許容できるかによって考えると分かりやすい。米国の成長を強く信じるのであればS&P500、特定の国に集中せず世界全体へ分散したいのであればオルカンという選択ができる。
また、S&P500とオルカンのどちらか一方しか購入できないわけではない。迷うのであれば、両方を積み立てる方法もある。また、両方積み立てればそれぞれの保有比率で米国株への投資比率を調整することもできる。例えば、米国株100%で構成されるS&P500と米国株が約60%で構成されるオルカンをそれぞれ同じ金額分積み立てれば、全体で8割米国に投資していることになる。
オルカン1本をおすすめする理由
個人的にはオルカン1本を積み立てておけば良いと考えている。
管理が楽
投資は買って終わりではない。定期的に市場価値を把握して、場合によってはリバランスが必要になる。投資信託であれば投資対象を選んだ後に頻繁に売買しなくてよいが、含み益がマイナスの時は初心者では苦痛に感じてしまう。これを持っている銘柄の数だけ確認する作業は含み益がプラスかマイナスかに関わらず、初心者には時間的、精神的に負担が大きい。そのため、投資対象を1つに絞ることで市場価値を把握するコスト、ひいては投資そのものに対する負担を抑え、市場に長く居続けることができる。
また、オルカン1つに絞ることで、ポートフォリオはオルカンと現金のシンプルなものになる。そこからそれぞれの金額や比率を決めて投資を行うことで積立投資を長期間行うことができる。将来、資産状況を振り返った時に、オルカンへの投資比率の増減や別の投資対象への追加や変更等、柔軟に対応できる点もオススメの理由になる。
世界経済全体に分散されている
上記だけであればS&P500でも十分良いが、アメリカが今後どうなるかは分からない。未来ではアメリカが衰退し、他の国がアメリカに代わって経済大国となる可能性は0ではない。万が一にもそうなれば、S&P500の基準価額は下がるものの、オルカンの評価額はS&P500ほど下がらないか、上昇している可能性もある。
オルカンであれば、他の国の企業が成長して時価総額が大きくなれば、指数の構成比率にも反映される。投資家自身がその国の企業を探して買い直す必要はない。
世界経済が成長を続けると信じて投資する。
一度積み立てを始めたら投資していることを忘れたり、暴落でも売らずにホールドしたりと、短期的な売買をせずに長期にわたって投資を続ける。オルカンは、こうした長期投資を実践しやすい投資先の一つだ。
まとめ
この記事ではS&P500とオルカンについて、投資初心者はどちらに投資すれば良いか解説した。どちらも有力な投資対象であるが、どちらに投資したらよいか決められない、投資をしたいがどうしたらよいか分からないという人にはオルカン1本を勧めたい。
S&P500とオルカンのどちらに投資したらよいか、という問いに対しては、正直どちらでもよい。両者の過去のリターンに大きな開きがあるわけではない。両方に投資してもよい。しかし、日本でも物価が上がる現在では、投資をするかしないかで未来が大きく変わる。投資は確実なリターンを保証してくれるわけではないが、何もしなければインフレで日本円の価値は目減りする。現金だけでは実質的な購買力が低下して、ますます生活が苦しくなってしまう。是非投資を始めてみてほしい。
この記事が投資判断の参考になれば幸いだ。
